スペインの「食」=昼食=

スペインの昼食は、朝食に引き続き、遅い。

 

まあ、朝食が遅いわけだから、昼食が遅くなるのも当然と言えば当然。

 

昼食時間は1時から3時の間と考えていい。

会社の昼休みが1時からなので、いったん家に戻る人は帰宅時間があるので食べ始まるのは1時半頃になる。

食べる時間はその人、その家族によって違うが、大体この時間帯に食べている。

午後3時まで仕事をしていて昼食が4時頃と言う人も珍しくない。

もうこの時間になると昼食と呼ぶのか疑問だが・・・。

 

スペイン人にとって昼食は1日のメインの食事なので、食事は1日の中で一番重い。

日本人の夕食のようなものである。

サラダ、スープ、メインの肉か魚にゆでたポテトかフライドポテトを添える。

デザートに果物かヨーグルト。

そしてエスプレッソコーヒー

 

こう言うと、私達は自分を基準とした想像しかできないので、「小さなサラダボールに各自少量のサラダがあって」「ほんの添え物のポテトに魚一切れ」「果物はリンゴ1/4」と思うかもしれない。

 

いやいや、スペイン人はよく食べる。

サラダは大きなボールのような器にど~~ん!と置く。全員分だ。

レタス、トマト、ツナがメイン。

スペインのサラダにツナは欠かせないような気がする。

日本より安くお手軽だ。

サンドイッチにもツナマヨが人気だし。

 

スープは、「ポタッヘ」と言う野菜ポタージュが主流だ。

これはもう本当に、このポタッヘがスペイン人の体を作っていると言っても過言ではない。

具材は、玉ねぎ、にんじん、ポテト、ニンニク、カボチャ、ズッキーニ、インゲンをメインにレンズ豆か白いんげん豆。

だしはその家庭によって違うが、豚のばら肉だったり鶏肉だったりする。

私が作っていたのは、レンズ豆のポタージュ。

クレソンのポタージュも作っていたが、大量のクレソンを切るのが面倒くさくて、レンズ豆のポタージュの方がよく作っていた。

 

最初にスペインの市場に買い物に行った時(スペインの市場は本当に楽しい!)、クレソンをビニール袋いっぱいに1キロ買っていた人たちを見てびっくりした。

日本ならステーキとかに飾り程度にチョロっと乗っているクレソンの袋買い!

何に使うんだろうとずっと疑問だった。

でもクレソンは栄養たっぷりなので、これが山のように入った野菜スープは本当にスペイン人を全員ポパイにしてしまいそうだ。

 

クレソンは他にも、細かく切ってマヨネーズと和えて、クレソンサンドイッチにする。

 

日本的には、お浸しなんかにしてもおいしかった。

 

野菜スープにはポテト以外にも、里芋も入れる家庭が多い。

里芋も日本の里芋を想像しないでほしい。

直径20センチぐらいの塊である。

 

私はサツマイモを入れる野菜スープがちょっと甘めで好きだった。

(サツマイモもビッグサイズ!)

 

で、この野菜ポタージュ、カレー皿のようなスープ皿になみなみと注ぐ。

レストランでもなみなみと注いで、お皿のふちを持てないくらいだ。

両手で下から捧げ持ってくる。

これをいただくと、私はもう次のメインは食べられない・・・。

 

そして次はメイン。

肉、魚はこれまたどど~~ん!と大きい。

日本にある薄切り肉の習慣がないので、一番薄くても5ミリくらいだろうか。

私はよく肉屋さんに「紙のように薄く切ってね」と言っていたが、まあ段ボール紙ぐらいになってしまっていた。

魚も魚屋さんで輪切りにしてもらうのだがその輪切り1個が一人前の魚の量。

「なるべく薄く切ってね」と言うと「指一本分くらいかな?」と言われて「うん、そうね」と答えるが、スペイン人の指は随分太いらしい。

2センチはある。

で、大きな大きな魚を切る包丁で切るのだが、切り始めはまあまあとしても、そこから真ん中の骨にあたり、それをその包丁で砕いた後は、もう指一本ではない。

もう「指一本」は忘れている。

そして当然、2枚目を切る時には、いつもの習慣に戻ってしまい、私が言った「薄くね」はすっかり忘れて3枚目4枚目と切るのである。

そして、にこにこ満面の笑顔でそれを見せて、「どう?こんな感じで?」。

 

・・・「オッケー!完璧よ!」

 

完全なる敗北である。

 

スペイン人の屈託のない子供のような笑顔には、日本人が太刀打ちできるすべはない・・・。

 

さて、昼食の話しに戻り、デザートであるが、これも「リンゴ1/4」ではなく、リンゴ1個が1人分。

果物は1個が1人分と考える。

それも各自がペティナイフを持って自分で皮をむいて食べる。

食事用のナイフを使って皮をむいている強者もいる。

スペイン(ヨーロッパ?)のリンゴは小さいが、あの食事の量の後に1個食べるのは結構重い。

日本のリンゴの半分くらいかな。

ただ、リンゴは日本のほうが絶対おいしいと思う。

最近では「Fuji」と言うリンゴもスペインでは出てきて、これはかなりおいしかった。

「J」の発音がハ行になってしまうスペイン語では、「フヒ」となんとも気の抜けた名前だが・・・。

 

ただリンゴは、はずれが多すぎて、シャキシャキしていなくてぶわぶわで、何回リンゴのコンポートに変身させたことか・・・。

 

ヨーグルトが朝ではなく、昼食後に出てくるのも面白い。

安く種類も多いので結構楽しませてもらった。

 

昼食のメニューが肉や魚ではないこともある。

一品入魂主義のスペインは、昼食がポテトサラダということもある。

3キロぐらいあるようなポテトサラダを作り、それのみ、という昼食である。

日本のように2~3品作らなければならないことを考えると、楽は楽である。

 

私は第一夫の家族が料理上手だったので、義母や義妹に随分料理を教わった。

改めて、感謝感謝である。