スペインの「食」=トルティーヤ=

スペイン風オムレツとよく聞くが、これがスペイン語でTortillaとなる。

 

この単語の「L」が2つ重なった発音は、地方によって少し違う。

なので、トルティーヤ、と書かれている場合とトルティージャ、と書かれている場合があるのだ。

この「L」が重なった発音の後に「A」が来るのは、有名なPaellaと同じだ。

だから、「パエリヤ」と書くところと「パエジャ」と書くところがある。

地方によって、発音の仕方が微妙に違うので、また、日本人の耳がこの音に慣れていないため、日本語明記する時に違ってしまうのかもしれない。

同じく「R」と「L」の発音も、日本人の耳には区別がつきにくいので、同じ発音の仕方をしてしまうことがある。

スペイン語の「Pero」は、日本語の「でも」だが、このRの発音をLの発音にしてしまうと、「Pelo」となってしまい、「毛」になってしまう。

「R」の発音は、気持ち舌を巻き気味で、「L」は巻かない。

しかし、スペイン語には「RR」の発音もあって、これが「R」より巻き舌になる。

上記の「Pero」の発音を巻き舌の「RR」にしてしまうと「Perro」となり、これだと「犬」という意味になってしまう。

 

「食」の話しが言語の話しになってしまった。

 

さて、このTortillaだが、日本の卵焼きのように家庭によって味は何となく違う。

基本は、揚げたポテトを入れるのだが、これに玉ねぎを入れるのが私は好きだ。

揚げたポテトの後に玉ねぎを炒めて、ウインナーかベーコンも切って入れる。

これを卵と混ぜ合わせて、フライパンいっぱいに焼き上げる。

 

野菜をたくさん入れる人もいる。

 

けれど、やはり卵の焼き具合でおいしさが変わる。

ちょっとしっとりした焼き具合が私は好きだが、生卵を食べる習慣のないスペイン人なので、卵の半熟が嫌い人も多い。

目玉焼きの半熟が好きな人は比較的多いが、Tortillaは殆どの家庭でしっかり焼く。

 

外に出かける時に持っていく定番のおかずでもあり、パンにはさんで持っていくのもおいしい。

母親が出かける時に、「これ食べておいてね」と作って置いておくものの代表的なものでもある。

 

スペインの家庭には、日本の家庭にあるような、様々な道具がない。

ボールだったり、スライサーだったり。

ポテトを切って水にさらすのは、スープ用のお皿だ。

日本でいうカレー皿のような感じだ。

それにポテトを切って入れて水でさらしてから油で揚げる。

揚げたポテトは普通のお皿にそのまま置くか(クッキングペーパーも何も敷かない)、やはりスープ皿に溶いた卵液に直接入れてしまう。

油が切れていないなあと思うが、かまわない。

 

そうそう。

卵液を溶くのは、フォークだ。

フォークを横にした感じで、卵液をすくうような感じで溶く。

お皿とフォークが平行になる感じだ。

このフォークとお皿の醸し出す音も、Tortillaのできる前の音だ。

どこかの家からこの音が聞こえると、「あ~、Tortillaつくっているな」とすぐわかる。

 

話しは戻って、油の切れていないポテトを卵液に入れたところ。

これをまたフライパンにジャッ!と入れて焼く。

フライパン一面にポテトの入った卵液。

半分位焼けたら、これをひっくり返さなければならないのだが、これもまた、お皿を使う。

 

もうこの頃には、油の匂いと卵の匂いが家じゅうにプンプンしている。

 

油の匂いは誘惑的だ。

誰もが誘われる揚げ物の匂いだ。

これにまた、誰もが好きな卵の匂いが加わると、家族がだんだん台所に集まってくる。

 

ただ、丸いTortillaはつまみ食いができないので、そのまま見守ることになるのだが・・・。

 

時間が経ったほうがおいしいとまで言われるTortillaは、誕生日会や集まりなどには、絶対に出てくる定番レシピだ。

 

スペインで「フランスのTortilla(Tortilla francesa)」と言うと、ポテトが入っていない、いわゆる日本で言うオムレツになる。

 

小さな子供には、スープとこれが食事になることもよくある。

 

なので、スペインでは卵の消費量がかなり多いと思う。

「卵屋さん」というのがあって、卵だけを売っているのだが、そこでは2ダースとか3ダースで買っていく人もいる。

30センチ四方ぐらいの卵専用の段ボールで卵の上下をはさんで、ひもで十字に結ぶ。

さすがに私はそれを買ったことはないが・・・。

 

そうそう、スペイン人は、白い卵より茶色い卵を好む。

これはなぜだかわからない。

そしてL玉が好きだ。

これは多分L玉のほうがお得だ、ということだと思う。

 

M玉がないわけではないが、数は少ない。

 

生卵は食べられないわけではないかもしれないが、私は食べなかった。

日本では、生で食べることを前提として卵を売っていると思うが、スペインではそうではないと思うからだ。

 

新鮮だとわかっていても、何となく怖くて生では食べられなかった。

半熟卵は作っていたが、生卵は日本に一時帰国した時に思う存分食べることにしていた。

 

ウズラの卵は、昔は殆ど見かけなかったが、最近は普通にスーパーでも売っているようになった。

でもスペインの料理にウズラの卵のレシピはないので、何か違う国の料理を作る人とかが買っているのかもしれない。

 

いずれにせよ、需要が少ないので、スーパーには少ししか並んでいないし、買うときは賞味期限を見ないと、時々過ぎているものもあるので気をつけないといけない。