スペインの「いろいろ」=名字=
スペインでは、名前が最初、次に名字と並ぶ。
日本で例えるなら、「田中太郎」さんは、「太郎田中」になる。
名字は普通2つある。
父親の名字が先にきて、次に母親の名字になる。
例えば、父親の名字が「田中」で、母親の名字が「佐藤」。
名前が太郎だと、「太郎、田中佐藤」となる。
日本の順番で考えると、「田中佐藤 太郎」となるわけだ。
これには小さな論争もあり、なぜ父親の名字が先なのかとこだわる人もいる。
なぜなら、この「太郎」に子供が生まれると、太郎の最初の名字、つまり「田中」が子供の名字の最初に来ることになり、ここで母親の名字は消えてしまう。
スペイン女性の中には、これは不公平だと訴える人もいるのである。
また、通常使われるときも、最初の名字(父親の名字)だけで呼びがちなので、母親の名字は薄れていきがちだ。
名前を2つ持っている人も多い。
そうなると、正確な名前は、「田中佐藤 太郎次郎」だったりする。
名前は最初の名前を呼び名にするか、2番目を呼び名にするかは家族内で決まる。
何となく呼びやすい方になる、というゆるい決め方だ。
名前に、父親の名前をつける人が多い。
日本では、父親の漢字を1つとって、とかはあるが、同じ名前をつけることは、たぶんまずないが、スペインではよくあることだ。
2つ名前をつけられるので、どちらかを父親の名前にするのだ。
そして、学校でも会社でもほとんどの場所で、名前が呼ばれる。
日本では名字を呼ぶが、スペインでは名前だ。
名字で呼ばれると、なんかかしこまった感じがする。
そういう場でしか名字では呼ばれない。
日本にある「先輩」「後輩」の習慣はなく、全員同じ立ち位置なので、学校でも会社でも、日本から見れば名前を「呼び捨て」。
上司の名前もたぶん殆どが名前を「呼び捨て」だが、スペイン人にとって、呼び捨てにしている感覚はないので、日本人が「〇〇さん」と言っているのと同じ感覚ではないかと思う。
結婚しても名字が変わることはないので、今日本で話されているような夫婦別姓という問題はない。
日本のように、女性は結婚したら「夫の家に入る」という感覚は、スペイン人女性にとって「は~~~?!」「なんで夫の家に入るってなるの?男も女も平等よ」とたぶん理解に苦しむだろう。
私は小さい頃からそういう空気の中で育ってきたので日本の慣習として理解できるが、このままこの慣習が続くのは無理があるのではないかと思ってしまう。
若い世代の人達にとっては理解しがたい、理解したくないことかもしれない。