スペインの「いろいろ」=LGBT=
スペインにはたくさんのLGBTの人がいる。
男性同士、女性同士のカップルが日常的に遭遇する。
街を歩いていても、買い物をしていても、あちらこちらにいる。
手をつないで歩いている人達もいるし、そうでない人もいる。
特にそれを隠すこともなく堂々としているように見えるが、LGBTの家族の会のようなものもあるらしい。
知り合いに、息子さんがLGBTだとわかった人がいて、その人が家族会に行くようになって気持ちが落ち着いたという話しを聞いたことがある。
スペイン人だって、やはり最初は戸惑うのだと思う。
ただ、個人主義の国なので、基本、人の事はあまり関知しないし、「それで幸せならいいじゃない」という考えが根底にあるので、人が何と思おうが関係ないのかもしれない。
しかし昔からそうだったわけではなく、フランコ政権時代にはやはり認められてはいなかったようなので、ここ50年ぐらいで変わってきたのかもしれない。
私はどちらかと言うと、「そういう人もいるんじゃないの?」と思っていたが、ある観光地で入ったカフェがLGBT専用と言うか、LGBTの人たちが集まるカフェだったらしく、外の席に行こうと思ってみたら、外の席はすべて、二人用の屋根付きブランコで、全ての席が男性カップルで満席になっていてびっくりしたことはある。
とてもかわいいカフェで内装も凝っていて、スペインにはあまりないタイプのカフェだったが、中にいる人たちからの視線が痛かったので、そのまま出てしまった。
観光地には彼ら彼女ら専用のホテルもある。
スペインはカーニバルが盛んだが、スペインのカーニバルはLGBTの人たちによって支えられていると言っても過言ではない。
有名なドラッグクイーンなどもその一つだ。
以前はなかったドラッグクイーンコンテストだが、今ではカーニバルの女王のコンテストよりも早く観覧予約が売り切れる。
美容院などにもLGBTの男性美容師が多い。
仕事の仲間だったり、知り合いにもLGBTの人はいる。
皆普通に気のいい人たちばかりで私は何の抵抗もない。
中高年のスペイン人でまだ抵抗のある人はいるようだが、日本に比べればずっと少ないと思う。
いつだったか、街を歩いていて、一人の男性が、知り合いの中年女性にあった時に、「わ~お久しぶり~!僕の夫を紹介するよ~!」
と言ったらその女性がびっくりして目を丸くしていたことがある。
こういうオープンさっていいな、と思う。
障害者も街中にたくさんいるし、その家族への助けの手も街中でよく見かける。
助けてあげることを誇りに思っているようにも見受けられる。
また、中国の子供の養子縁組もかなりあるので、スペイン人夫婦がオリエンタルな顔をした子供を連れていることはよくあることだ。
明らかに自分たちの子供ではないことがわかるが、それをなんとも思わず、むしろ皆ほほえましく見ているような気がする。
養子縁組は簡単ではなく煩雑な手続きがあるが、それでも知り合いの二家族に中国人の子供がいる。
街でそういう子供に会うと、不思議なことに、その子供たちはオリエンタルな私の顔を見つけると、じっと凝視する。
小さな子供なのに、顔の差がわかるのだろうか、と思うが、まるで「私達仲間よね?」とでも言うように、じ~~~っと見つめてくるのだ。
LGBTの話しからそれてしまった。
スペインでは同性婚も認められている。
もしかしたら、これがきっかけで、LGBTへの偏見が薄れていったのかもしれない。
法が整うということは、やはりそれだけ多くの人が望んでいるからであると思う。
日本でももっと、いわゆる「普通」の枠を取り払って、いろんな人がそれぞれの生き方をしていて良いのだというようになったらいいのに、と思う。
「そんなことしたら、人になんて言われるか」
という常套句は死語にしたい。
いろんな生き方があっていい。
それをお互いに認めることができる日本人であってほしい。