スペインの「住」=マンション=

都市部にはピソと呼ばれるマンションが多く、寝室が1つというところから4つ、5つという大きいピソもある。

標準が2寝室、3寝室。

最近作られたピソは、量産したいために、ピソ自体が小さくなってきているので、寝室も小さくなってきているが、昔立てられた建物は一部屋も大きく天井も高い。

 

基本的に、靴のまま家に入る習慣なので、玄関がなくそのままリビングになっていたり、あってもかなり小さい。

 

床は石なので、冬は下からしんしんと冷たい。

フローリングにするピソも増えてきているが、床をモップで拭く習慣のある国なので、石のほうが勝手が良い。

 

キッチンはだいたいリビングとは別になっている。

システムキッチンなのでどこも大体同じ造りだが、扉の色や素材などがそれぞれ違っておもしろい。

その時の流行などもあるし、キッチンを見ると何となくどの時代に作ったものかがわかる。

 

私は引越しが多かったので、キッチンを作ったことは修復も含めて4回ある。

修復というのは、入ったピソにすでにあったキッチンの骨組みはそのままで扉を変えたり、棚を増やしたり、ということ。

なのでかなりキッチンにはこだわりがある。

 

日本はキッチンが狭く、どうしてもっとキッチンに重きを置かないのかなあと思う。

もう少し大きくすれば、使い勝手がよくなるのに。

主婦(だけではないが)が一番長くいる場所で毎日毎食使う場所なのに・・・。

 

浴室トイレはたいてい一緒になっている。

トイレだけ別という形ではなく、一室にトイレ、洗面、浴槽が備えてある。

なので、誰かがトイレに入っていると、顔を洗いに入れない。

浴槽は、シャワーがついていて、シャワー用のカーテンを浴槽の中に入れてシャワーを浴びる。

しかし、もうずいぶん前からこのカーテンを使わず、仕切りの扉を後付けするところが多くなり、今ではほとんどカーテンをつけているところはない。

私が初めてスペインに行った頃は、デパートのタオル売り場には必ずシャワー用カーテンを売っていて、それはそれはたくさんの種類があった。

内側はビニールタイプの水をはじくカーテンだけど、外側にはレースのきれいなカーテンをつけて、両側をカーテン止めで止めて、まるでお姫様のベッドのようにしたり・・・。

でも今ではシャワー用カーテンは本当に少なくなった。

扉の方がやっぱり楽だったのだ。

 

浴槽も最近ではなくなってきている。

もともとお湯をためて入る習慣が殆どないので、浴槽があっても使わないのに掃除するのが面倒、場所も取る、ということで、最近はシャワープレートとでもいうだろうか。

床はシャワー用の石のような素材で、それを壁(タイル)と前述した浴槽用の仕切りで囲む。

浴槽だと、細長くとっていた場所が、このシャワープレートにするとその半分の面積でできてしまう。

シャワーだけを浴びる場合、人間1人が立って浴びる面積だけあれば十分なのだ。

 

スポーツジムなどにあるシャワー室を想像してみてほしい。

あんな感じだ。

 

扉も曇りガラスから透明まであって、人気は透明。

ただ、設置されたときはきれいだけれど、それを維持するのはやはり大変で、毎日シャワーの後に拭いていないと、あっという間に汚くなってしまう。

 

スペイン人は日本人のように熱いお湯でシャワーを浴びる習慣があまりない。

昔はガスボンベがどこの家庭にもあって、ガスコンロとシャワーがガス仕様だったのだが、20年前頃だろうか、IHコンロが流行り始め、それと同時に電気でお湯を温めたものを貯めておくタンクが出始め、あっという間にそれは広がった。

IHの普及はガスコンロを掃除する手間が劇的に良くなったこと、給湯タンク(と呼んでいいのかわからないが)は、ガスボンベをシャワーのためだけに持っていることが手間になったこと・・・なのかもしれない。

ガスボンベはなくなったらガス屋さんを呼んで持ってきてもらうのだが、もちろんすぐには来ない。予備を持っていればいいが、持っていなければガスコンロも使えず、シャワーも使えない。

ガスボンベのシャワーは、お湯を貯めるタンク仕様より、お湯を使う量はあまり制限がないが、浴びている最中にガスがなくなると悲惨だ。

タンクは、お湯の量が決まっているので、誰が先に入ったかで何となく水量がコントロールできるがガスは残量がわからないので難しい。

 

給湯タンクも出始めの時は、大きな容量のものがなく、また大きな容量のものは場所をとるため(壁に取り付ける)、うちに最初に取り付けたものは確か20リットルだったと思う。

20リットルの熱湯を水と混ぜながらシャワーの時に使うわけだが、これはかなり少ない。

この頃は、誰かがシャワーを浴びたら、次の人は15分から30分は待たないと、熱いお湯がたまらないので結構大変だった。

1人でも頭を洗う日は、急がないと最後に水になってしまう。

ゆっくりシャワーを浴びることは到底できず、時間節約のためリンスインシャンプーを使っていた記憶がある。

 

最後に住んでいたピソは50リットルのタンクがあったが、熱いお湯が好みの息子がゆっくりシャワーを楽しんでしまうと、次に入った私は最後までお湯を楽しむことができなかった。

最後に水シャワーになった時の悲しさ、そしてその後その悲しさは怒りへと変化する・・・(笑)。

 

いつでも瞬時にお湯が出る日本は本当にすごい国だ。