スペインの「仕事」=勤務時間①=
スペインでも日本と同じ基本1日8時間労働。
けれど、昼食が一日のメインの食事にあたるこの国では、1時ごろまで仕事をして、いったん家に帰って昼食をとるのが、以前は当たり前だった。
私が仕事を始めた1985年頃は、公務員以外は殆ど昼食の時間1時から3時頃までは皆会社から家に戻っていた。
私も当然家に戻って、昼食後また出社するのだが、これが結構面倒くさい。
1時過ぎには交通渋滞がものすごいし、何より、皆おなかがすいているので早く家に帰りたくて、譲り合いの気持ちも薄くなる。
その後、また、おなかがいっぱいでちょっと眠くなりかけたころ、会社に戻らなければならないのである。
シエスタ(昼寝)が有名なスペインだが、いまだにその習慣は残っていて、時間に余裕のある人はほんの少しシエスタをとる人もいる。
公務員は基本8時から15時勤務なので、この人たちは家に帰ってから昼食。
15時過ぎに昼食??と思うが、全く驚くことではない。
特に週末などは、この時間が多くの家での昼食タイムである。
「え~?15時までおなかすかないの~?」
と思うだろう。
驚くなかれ、スペインの職場には「朝食タイム」がある。
10時から11時頃、15分から30分の「朝食タイム」の「権利」がある。
職場によってその時間帯などには差があるが、たぶんすべての職種にあるはずだ。
皆、ボカディージョと呼ばれる、バゲットにハムやらチーズやらをはさんだものを家から持ってきて食べる。
「え、じゃあ朝お弁当作るんで大変だね」
・・・いえいえ、朝、バゲット(配達制度があって朝イチに家のドアにぶら下げてくれる。袋をあらかじめかけておけばそこに入れてくれるし、なければビニール袋に入れてくれる)を半分に切って、冷蔵庫にあるハムとかチーズとかをぺっぺっと入れるだけだ。
そしてそれをアルミホイルでクルクルっと包むだけ。
そしてそれをバッグにポイ!
バッグを持っていない男性などは、そのまま手に持っていく人もいる。
職場の周りにカフェなどがある人は、そこに出かけて食べることも多い。
カフェには結構重めのボカディージョがあって、ニンニクたっぷりの牛肉をはさんだものや、イカのリング揚げにタルタルソースをかけたボカディージョなんてのを食べる人もいる。
これをこの時間に食べていれば15時までは十分もつだろう。
この時間スペインのバルが賑やかなのは、朝食をとりに来た会社員がいっぱいなのだ。
銀行の窓口などは、この時間に行くと2人いるはずの窓口業務の担当者が1人はいない。
聞くと「あ、今朝食タイムなので」と言われる。
この時間に人が減るから誰かをそこにまわそう、なんて考えはさらさらなく、その人が帰るまで、そこは「クローズ」となってしまう。
公務員は30分~45分の朝食タイムがあるようで、この時間に外に出てスーパーに行って買い物をこなす強者もいる。
その上、朝食タイムの時間のコントロールなどはないので、早く戻ろうが遅く戻ろうが何も言われない。
あれれ、「仕事」と言いつつ「食」の話になってきてしまった・・・。
スペインは「食」とは切っても切れない生活なのかもしれない。