スペインの「教育」=教師=

スペインの教師は、おいしい。

 

だからなりたい人がたくさんいる。

 

公立の先生になった人は、給料がいい上に時間ぴったりに帰れるし、一生職を失うことはない。

日本では一般的に、一度就職してしまえば殆ど解雇されることはないが、スペインでは正社員でも解雇されることが多いので、一番安全な就職先は公務員になることである。

 

公務員は休暇の日数も多いし、勤務時間数も少ないし、本当においしい仕事だ。

ある50代の公務員は一年の休暇日数が40日以上だと言っていた。

どうやら勤務年数で休暇日数が増えていくらしい。

 

しかし教師になった場合、学校の夏休みが教師の休暇になる。

スペインの学校は6月下旬には学期末を迎え、新学期が始まる9月上旬まで夏休みに入る。

一応、教師は6月中は出勤するとしても、7月8月は丸々お休みだ。

なぜなら、スペインには、日本のような部活動を教師が受け持つことなど絶対にないし、夏休み中も学校に出勤しなければならないこともない。

 

近年、夏休みが長すぎる、7月も授業をしてほしいという声があり、サマースクールとして希望する子供を受け入れる学校が増えてきたが、これは別途お金を払って通わせることになり、学校の先生たちが受け入れるのではなく、外部の人を雇っている。

失業者が多いスペインでは、夏休みのこういったアルバイトをしたい人が多いのだ。

 

夏休みだけではない。

スペインの教師は年末年始の冬休みもたっぷりもらえる。

つまり、学校のお休みの日は教師もお休みなのだ。

 

私立の学校の先生も多分殆ど同じだと思う。

ただ違うのは、公務員ではないので解雇される可能性は高いということだ。

 

教師は比較的給料が高い部類に入るので、日本のように安い給料で休みもなく時間外も働く、ということはない。

なので、教師になりたい人はものすごく多いのだ。

 

しかし、私から見るとこれが教師の質の低下につながっているように思える。

 

安泰で特に何もしなくても教師として続けていける公立の学校の先生の質はあまり良くないような気がする。

 

公立学校に入れたくないという親も多いのはこのせいではないかと思う。

 

日本の教師は、授業以外にやることが多すぎて、肝心の授業に集中できないのではないだろうか。

伝統的に、部活動はその学校の先生が担うことになっているが、そろそろこれはやめても良いのかもしれない。

 

地域によっては、夜、繁華街をまわって生徒がいないか見回りをする、と聞いたことがあるが、教師も一人の人間。

家庭も持っているし、子供だっているだろう。

学校の生徒たちはもちろん大切だけれど、自分の子供に会えずに一日が終わるような勤務体制は何かおかしいような気がする。

 

教師の質で言えば、日本は絶対に高い教師の質を持っている。

大多数の教師が、と言う意味だ。

質の低い教師ももちろんいる。

けれど大多数の教師が教える「技術」を持っていると思う。

その人たちが思う存分力を発揮できるような体制を、学校側が整えていけるといいのに、と思う。

 

あ、なんかちょっと熱く語ってしまった。

 

日本の教育、意識、意欲、とても素晴らしいので、もったいないと思うのだ。

 

今まで普通だと思ってきたことが、変わりつつあるこの時代、未来を担う子供たちを育てる大切な現場も、見直す時が来ているような気がする。