スペインの「行事」=大晦日=

スペインの大晦日は、クリスマスイブ同様、お昼に仕事が終わるところが多い。

お店なども早めに閉店する。

 

この日は、家で家族と過ごすクリスマスと違って、わいわい騒ぐ日だ。

家族で集まって夕食からカウントダウンまで、という人や、レストランやどこかの会場で行われるイベントに参加する人など様々だ。

若い人たちは特に、外のイベント会場に友達と一緒に行くことが多い。

 

家族で集まる場合は、やはり夜9時以降の集合で、クリスマスの夕食のように、何か特別な料理を作ったりする。

パエリヤだったり、魚介だったり、子羊や豚の足をオーブンで焼いたものだったり・・・。

 

カウントダウンはテレビ中継してくれる。

12時に12回鳴る鐘にあわせて、ブドウの粒を1つずつ食べる。

これを鐘に合わせて12個食べられたら、来年はいいことがあるよ、ということだ。

 

ブドウは1つずつばらばらにして、コップやシャンパングラスなどに用意しておかなければならない。

このブドウもできれば小さい粒にしておかないと、12個口の中に入れることができない。

鐘はとても速いのだ。

除夜の鐘のように「ご~~~~~ん・・・。」と厳かなのではなく、1秒ごと位の速さで鐘は鳴る。

ブドウを1粒口に入れたらすぐに次のブドウを取って口に入れないと、鐘の速さに遅れてしまう。

そしてもちろんかんだり飲んだりする時間は殆どないので、12粒入れてからかむことになるので、結構大変だ。

この間に、夢中になっている誰かを見て笑ってしまったら、もう12粒のブドウを鐘と共に口に入れることはできなくなる。

 

カウントダウンの後は、「新年おめでとう!」の掛け声があがり、頬を寄せてキスで祝福する。

あちこちで花火が上がったり、爆竹の音がしてくる。

この時間からは、皆大いに飲むので、外で歩いていると結構危ない。

花火が飛んできたり、酔っ払いも多い。

 

一番安全なのは、家の中で過ごすか、どこかのイベント会場で朝まで過ごすか、だ。

 

イベント会場では、カウントダウン以降はダンスが始まり、朝まで踊っている。

 

もちろんスペイン人全員がそうなのではなく、そういう過ごし方が好きではない人だっているが・・・。

 

私は夜は寝たい人間なので、大晦日だろうが何だろうが、眠い。

だいたい31日まで仕事で、その上31日用の食事の用意までして、12時まで起きてるなんて私には不可能だ。

ギリギリカウントダウンまで起きていて、ブドウを食べたら「おやすみなさい」。

 

朝まで飲み、踊り、騒いだ人たちは、明け方チューロ屋さんが開くのを待って、チューロ屋になだれ込む。

チューロ屋は1月1日、この人たちのために開けるのだ。

多分朝7時頃から開けるのだろうか。

 

晦日はドレスアップしてイベント会場に行くのだが、それがもうぼろぼろになってチューロ屋さんに集まっている。

ストッキングが破れている人、この日のために買ったヒールの靴が痛くて脱いでいる人、スーツが食べ物で汚れてしまっていたり、お酒のシミがついていたり・・・。

 

まあ、この日のために、安いドレスやスーツが売られているので、一回きりでも良いのかもしれないが・・・。

 

チューロと甘いチョコラーテでエネルギーを補給して、家路となる。

そして、当然その後は寝る。

 

元旦の朝から新年を祝う日本とは違って、スペインは新年になった瞬間を祝い、その後は寝るのである。

 

そして、1月2日にはもう仕事開始。

 

何事もなかったかのようにいつもと同じ日々が始まる。