スペインの「行事」=カーニバル=

カーニバルというとリオのカーニバルが有名だが、スペインでも大きな行事の1つだ。

 

特に私が住んでいたところは、スペインの中でもカーニバルが有名だった。

私はカーニバル族ではなかったので、詳しいことはわからない。

住み始めて2年位は参加したが、もうそれで充分という感じだった。

カーニバル期間は、今は3週間ぐらいになっていると思うが、以前は1か月だった。

この期間中、カーニバルの開催場所では、屋台が出たり、日本のお祭りのような感じになる。

大きなぬいぐるみを賞品にしたゲームなんかもあって、ちょっと楽しい。

ここに来る人は、仮装をした人が多い。

特に10時以降には音楽も高まって、踊り始めたりする。

何時までやっているのかはわからないが、たぶん夜中の3時ごろまでかもしれない。

週末だけではなく、毎日繰り返されるのだからすごい。

カーニバル族の人たちは、毎晩今日はどんな仮装で行こうかとワクワクしている。

家族間で交換しあったり、友達同士で同じ仮装にして出かけたり。

特に多いのが、男性が女装をする仮装だ。

その年に流行った映画のキャラクターだったり、警察官なんかも多い。

週末の夜には、子供たちもこれに加わる。

小さい子供たちも仮装をして集まる。

女の子はやはりお姫様が仮装の人気ランキングトップだ。

あれは、きっと嬉しいだろうなあと思う。

 

カーニバルが始まる前からおもちゃ屋さん、生地屋さん、スーパーなんかでも、仮装用の衣装を売り始める。

500円~1000円くらいの、安いぺらっぺらの生地の衣装もある。

まあ、1回しか着ないならこの程度でも十分かもしれない。

デパートやディズニーショップなどでは、高額の衣装も売られる。

 

しかし、本当のカーニバル族が使うのは買った衣装ではない。

 

自分たちで作るのである。

この時期、生地屋さんは大盛況だ。

行ってみると、本当にいろいろな生地があって、見ていても楽しくなるし、「この生地だとこんなものができるかな~」なんて、カーニバル族ではない私でも想像の世界に迷い込む。

 

かぶり物もたくさん出回る。

ピエロ用のクルクル巻き毛のかつら、女の子になるためのかつら、動物や恐竜、ゾンビタイプ等々、これもまた見ていて楽しい。

全て、大人用と子供用がある。

 

学校でも仮装して集まる日があるので、この日は朝から大変だ。

小さな恐竜が道を歩いていたり、ゾンビがスクールバスに乗ろうとしている。

中高生でも結構恥ずかしがらずに仮装する子がいるが、スペイン人だからと言って、全員がカーニバル好きではない。

中には、仮装をするのが嫌な子も当然いる。

そんな子は、仮装をしないで登校する。

 

カーニバルのパレードがメインイベントだが、この日までに様々なイベントがある。

カーニバルの女王、子供のカーニバルの女王、ドラッグクイーン、チャンクレータと呼ばれる歌うピエロ集団(笑)、ダンスグループととにかく様々なコンテストが開催時期には目白押しだ。

 

メインのパレードにはこれらの優勝者がパレードに加わることができる。

パレードには参加したいグループ(殆どが会社やお店)が応募する。

各グループがトラックなどを用意して、パレードの道を通っていく。

午後4時頃から先頭がスタート地点を出発するが、ゴール地点に先頭が到着するのは夜8時以降だ。

 

トラックには電飾がついているので、綺麗なのはやはり夜暗くなってから。

面白いのは、やはり手作りの素晴らしい衣装を完璧に着こなして歩いている人たちだ。

その年ごとにテーマ(例えば、「カリブ」だったり「東洋」だったり)があって、それに基づいた仮装をしている人がいるが、全く関係なく好きな格好をしている人が多い。

「欽ちゃんの仮装大賞」のように工夫を凝らしたオリジナルなものを作っている人もいて、スペイン人の頭の柔らかさ、想像力のたくましさには脱帽だ。

 

そしてやはりきれいなのは、女性のダンスグループ。

羽をたくさんつけた衣装をつけて華やかに踊る。

やはりボリュームのある体にはよく似合うし、衣装も本当によくできている。

子供のダンスグループもいるが、これもとてもかわいらしい。

 

子供が小さい時は、パレードに連れて行ったが、子供が友達と行くようになってからは行っていない。

 

そうそう。

1つの通り限定で、ベビーパウダー(タルカムパウダー?)を投げあうイベントもあったっけ。

期間中一回だけ。

あれはなんて言う名前だったっけ。

 

参加者は全員白い洋服でそこに来る。

誰でも参加することができるので、行けばいい。

この日、薬局ではベビーパウダーが完売する。

参加したことがないので、どうやって始まるのかわからないが、きっと時間が決まっていて始まるのだろう。

だって、普通に歩行者がいるのだから。

歩行者は、この時間離れていないとパウダーで真っ白になる。

白い服を来た者がお互いにパウダーを投げあう。

・・・よくわからないが、きっと楽しいことは楽しいだろう、その時は。

 

このパウダーの匂いは、遠くからでも匂うほど。

そして、パウダーの白い煙はこれまた遠くからでも見えるほどだ。

 

うちの子が1度だけ参加したことがあって、迎えに行ったことがあるのだが、これが失敗だった。

友達も拾ってあげたので2人が車の後ろに座ったが、シートが真っ白になってしまった。

それも結構取れないのだ。

 

このイベントの由来も聞いたのだが、忘れてしまった。

カーニバル族ではない私は、こういうことは覚えていないのだ・・・。

 

カーニバルは、「イワシの埋葬」でフィニッシュとなる。

この日は、パレードが喪服が衣装に変わる。

そしてなぜか未亡人(女性)だ。

女性だけが参加するのではない。

男性が女性に仮装している方が多い。

華やかなメインのパレードとは一転、喪服で皆オーバーにオイオイと泣き叫びながら歩く。

このパレードのメインは、紙で作られた大きなイワシだ。

 

ゴール地点の海でこのイワシを焼く。

なぜイワシなのか。

なぜ未亡人なのか。

 

カーニバル族ではない私はこれも聞いたはずだが忘れている。

そもそも、聞いてもちゃんと知っている人が少ないのだ。

 

この日の夜中、花火が聞こえる。

「あ~イワシが焼かれたな・・・」と思う。

やっと今年のカーニバルも終わったな、と思う。

 

しかしカーニバル族は、「来年は何を着ようかな?」と考えるのだ。