東京2020ボランティア。選手専用プラザ。

選手村内にちょっとした買い物ができる場所がある。

全国から送ってもらったという材木を組み合わせて作った、選手の居住棟から比べるとちょっと異空間のような場所がある。

東京2020のお土産物を売っているお店や、コンビニ、美容院、クリニック、郵便局、写真屋、携帯ショップなどがあった。

 

ここはボランティアは入ってはいけないことになっているのだが、時々選手や団長に頼まれて一緒にお店に入ることがある。

店内にはこのエリア担当のボランティアがいて、関係者が入っていないかチェックをしている。

ちょっとお土産を見ているとすぐに近寄ってきて、どうしてここにいるのか質問される。

「団長と一緒です」とか言うと立ち去っていく。

 

コンビニにはいろいろあったようだが、選手団からは不評だった。

ボディーシャンプーがなくなったので買いたいが、コンビニには小さなものしかない。

外には出ていけないので、結局多くのボランティア達が、村外に行き買って持って入っていた。

これは、日用品に限らず、陸上選手のシューズが破れてしまったので同じものが欲しいとか、本当に様々な場面で「コロナのために外に出られない」ことが大きく影響した。

 

開村時、ネットを使っての購入は許可されていなかったが、あっという間に許可された。

オリンピック選手村あてにネットで商品も買い、選手村に届いた荷物を分けてその国の居住棟まで持ってきてくれる。

商品をネット購入したら、すぐにLogisticsという部署に届け出なければならない。

いつ頃、どんなものが届くのか申請しておかないといけないのだ。

ネット購入する時は、オリンピック選手村の住所と国名を入れないと届かない。

どのくらいの荷物が届いていたかはわからないが、たぶん相当数あったと思う。

 

そのうち、あっという間にUber Eats も広がり、その受け渡しが選手村の正面にある建物になり、外に出られない選手に替わってボランティアが行くことになる。

 

特に多かったのが、「誕生日をお祝いしたいのでケーキを注文したい」だった。

 

私もパラリンピックの時に、誕生日ケーキを取りに行ったことがある。

選手が注文して本当にあっという間に指定の建物に届いた。

しかし、「取りに行く」と簡単に言うが、選手村は広いのだ。

そして炎天下だ。

パラリンピックの時に担当していた国の居住棟は、一番奥だったので、そこから歩いて一番端の選手村出入口まで行き、それからその指定の建物まで行き、品物を受け取り、またその道を帰っていくのである。

オリンピックの時は、これが短縮できる「プラザ抜け」ができたのだが、パラリンピックから、ボランティアはこのエリアに立ち入ることもできなくなってしまったのだ。

オリンピックの時に、自分たちの買い物をしてしまったり、帯同していないのに入った人たちがいたようで、パラリンピックは通り抜けさえできなくなってしまったのだ。

 

村内を走るオートバスがあるのだが、これも選手たちと一緒でないと乗ることはできない。

 

往復30~40分かけて、そのケーキを届ける。

 

選手村の本当に本当にあり得ない作りだった。

殆どのボランティアが毎日2万歩位歩いていたと思う。

私は最高で26000歩だった。

平均15000歩。

 

プラザ内の美容院は、選手は無料でカットしてもらえる。

ネイルもやってたし、なんかすごいハイテンションで客寄せをしていた。

 

写真屋さんでは、有料で選手たちの写真撮影をしていた。

 

まあ、コロナで外出禁止になるなんてことは想定していなかったからしょうがないけれど、もう少し日用品が並ぶお店があったらよかったのかもしれない。

 

選手村の近くにはコンビニもある。

 

選手は外に買いに出ていなかったのか。

 

出ていた。

 

オリンピック後半は特に出ていた。

多分、もう自分の試合が終わってしまった人は、「出場停止」になることはもうないので安心していたのかも。

居住棟にたくさんのビールの缶が捨てられていたし。

選手村は入るのには厳重なチェックがあるけれど、出るのには全くチェックをしない。

 

帽子をかぶってマスクをしていれば、誰が出ていくのかわからない。

門にはガードマンがいるけれど、本人チェックも鞄の中身もチェックしないのだからおかしな話しだ。

 

外に出た選手は競技会場から帰ってきた時と同じように選手村に入村できる。

 

まさしく「ざる」だった。