スペインの「食」=肉=

① 牛肉

牛肉は日本のおいしいお肉を食べている日本人には、たぶん満足のいく牛肉に出会うのは難しいかもしれない。

値段はずっとずっと安いが、牛肉の「味」がしない。

そしてやはり固い。

シチューのようにソースで煮込んでしまうレシピには、安くたくさん使えるので良い。

ひき肉だとこれも結構ごまかせるので、ミートソースやハンバーグなどにはふんだんに使える。

最近では「WAGYU」と言って、日本の牛肉を売っているところも出てきたが、怖くて食べられなかった(笑)。

 

② 豚肉

豚肉は大丈夫。

使えます。

ただ、豚肉も牛肉も、日本のような薄切りはないので、それは覚悟しなければならない。

私がいたところでは、韓国人も多かったので、彼らの需要のために、ある肉屋が薄切りを始めてくれた。

それから、韓国人や日本人は薄切り肉が食べられるようになった。

これは本当にありがたかった。

日本ほど薄くないとしても、もう充分豚バラが使えるのである。

私の料理のレシピはここから一気に広がったような気がする。

だって、日本のお料理って豚バラレシピたくさんあるんだもん。

 

イベリコ豚は、本当に本当においしい。

これはマグロの大トロのような感じの見た目で、脂がたっぷりのった見た目。

牛肉の霜降り?という感じ。

 

これを、ニンニクを炒めたフライパンで焼いて、食べるときにスペインの粗塩(これがまたおいしい)をパラパラの乗っけて食べる。

これだけでご馳走になる。

イベリコ豚を使ったとんかつは、おもてなしに使える料理になるが、スペイン人に「とんかつ」というレシピはないので(牛肉の薄切りのカツはあるけれど)、日本人だけが楽しむ料理になる。

 

③ 鶏肉

日本では胸肉が安いが、スペインでは胸肉は比較的高い。

もも肉が安いので家庭ではよく使われる。

レシピもいろいろあって、ほとんどがソースで煮込んで、肉が骨からホロホロと取れるくらい柔らかく煮込む。

しかし、鶏の皮は使わない。

全く使わない。

全てむいてしまう。

スーパーでも、市場と同じように肉屋さんがいて、お肉を塊で陳列して、好きな部位を切ってもらったりひき肉を作ってもらったりするのだが、ここでも、よく鶏肉を1羽丸ごと買って、全部切ってもらっていたりする人を見かける。

包丁の幅が20センチ以上ありそうな大きな包丁を振り落として、バッツンバッツンと骨ごと切っていく。

 

鶏のひき肉はない。

その肉屋さんでもひいてくれない。

鶏肉は傷むのが早いので、ミンチにする機械に入れたくないそうだ。

でもそれだけではなく、たぶん料理のレシピもないのだと思う。

牛肉と豚肉のひき肉はパックになってスーパーに売っているが、鶏のひき肉は並んでいない。